ハイライト動画|シャビ監督就任後の初陣|バルセロナダービー
バルセロナのレジェンド、シャビがバルセロナの監督に就任してから2週間。
バルセロナの、サッカー界の、新たな伝説の始まりとなる注目の一戦が行われました。
シャビ・エルナンデスの監督としての手腕に世界中の注目が集まり、その能力および結果次第では今後のバルセロナの将来の明暗を分ける試合となりました。
そんな緊張感と興奮を伴う注目の一戦について、試合までの道筋とクーマン監督らとの違いなど試合の詳細についてまとめました。
マッチ概要
日程 2021年11月21日(日) 5時キックオフ; 現地時間2021年11月20日(土) 21時
スタジアム カンプ・ノウ
主審 デル・セロ・グランデ; 今シーズン7回目のホイッスル、イエローカード1試合平均5.83枚
スカッド
バルセロナ
スターティングメンバー
GK
- テア・シュテーゲン
DF
- ジョルディ・アルバ
- エリック・ガルシア
- ジェラール・ピケ
- オスカル・ミンゲサ
MF
- セルヒオ・ブスケツ(C)
- フレンキー・デ・ヨング
- ニコ・ゴンサレス
FW
- ガビ
- メンフィス・デパイ
- イリアス・アコマック
ベンチメンバー
GK
- ネト
- イニャキ・ペーニャ
DF
- ロナルド・アラウホ
- クレモン・ラングレ
- サミュエル・ウンティティ
MF
- リキ・プッチ
- セルジ・ロベルト
FW
- フィリペ・コウチーニョ in
- ルーク・デ・ヨング
- アブデ
- アレックス・バルデ
- ユスフ・デミル
エスパニョール
スターティングメンバー
GK
- ディエゴ・ロペス
DF
- アレイシ・ビダル
- レアンドロ・カブレラ
- セルジ・ゴメス
- アドリア・ペドロサ
MF
- ダビド・ロペス(C)
- アドリ・エンバルバ
- ヤンヘル・エレーラ
- セルジ・ダルデル
- ハビエル・プアド
FW
- ラウール・デ・トマス
ベンチメンバー
- ミゲロン
- フェルナンド・カレーロ
- マヌ・モルラネス
- ウーレイ
- フラン・メリダ
- オスカル・メレンド
- ロレン・モロン
- ディダク
- ランドリー・ディマタ
- ケイディ・バレ
- ニコ
フォーメーション
バルセロナ
バルセロナは、試合前にシャビ監督が言っていたように、4−3−3のフォーメーションだった。
シャビ監督は自らの哲学を非常に大事にしているので、今後も4−3−3の形を崩すことはないだろう。
エスパニョール
エスパニョールは4−1−4ー1
試合結果
注目のバルセロナ・ダービーは、前半と後半では全く異なる内容のゲームとなり、バルセロナが辛くも1−0で勝利を掴んだ。
プレビュー
記者会見
トレーニング/ウォーミングアップ
マッチレビュー
全体
クーマン監督の時からの変更点
大きく変わるとは思っていたが、監督によってこれほどまでに変わるのかと改めて強く感じることとなった。
何がそんなにも変わったのか、一言で言うとすれば人の配置と距離感が圧倒的に変わった。
具体的な戦術における変更については、次の「戦術的視点」で解説します。
また、バルサBでプレーしていたイリアス・アコマックを右エストレーモの先発として起用したことも新たな試みと言える。彼にとってこれがトップチームのデビュー戦となった。
戦術的視点
まず、インテリオールの2人(デ・ヨングとニコ)が相手の最終ラインと中盤のラインの間の高い位置にポジションを取るようになった。ニコの方がより高い位置にポジションを取り、デパイが動いて空いたスペースに飛び込み、ゴールに迫る動きをしていた。一方で、後ろの組み立ては主に2センターバックとピボーテのブスケツが担っていた。
そして、常にトライアングルを意識して回転するようにお互いにポジションを入れ替えながら、相手ゴールサイドに押し込んで、テンポ良くボールを回すことができていた。また、選手の配置と距離感がいいため、ボールを失った後の奪取までが非常に素早く、セカンドボールもバルセロナの選手が拾うことができていた。
バルセロナはこれまでと同様に左サイドを中心に相手を崩すパス回しを行なっていた。やはりアルバの存在が大きく、アルバが大外を駆け上がり、内側ではデ・ヨングとガビ、デパイがポジションを入れ替えながら相手を翻弄していた。
高評価の選手
ガビ
ここ数ヶ月のスペイン代表およびバルセロナでの彼の活躍を見ている人にとって、シャビ監督の下でも輝くことは容易に想像できただろう。
左エストレーモのポジションで先発したガビは、攻撃時にはアルバ、デ・ヨング、デパイとうまく連携をとり、ポジションを入れ替えながらボールを動かしていた。
後半開始早々の特典シーンでも、デ・ヨングとのポジション交換のあと、前方のスペースへと飛び出したことにより、相手にとって脅威となる位置でブスケツからのパスを受け取ることができた。さらに、デパイに素晴らしい縦パスを送り、PKを得ることができた。
守備においても、一番遠い右後ろにまで戻ってクロスを上げさせまいと必死に相手(R.D.T.)に食らい付いているシーンもあった。
攻守において非常に献身的な働きをしてくれる今のバルセロナに欠かせない選手の一人だろう。
アブデ
後半の頭からイリアス・アコマックに代わって右エストレーモに入った。
これまでにも今シーズンから何度かトップチームの試合に出ていたが、今試合での彼の意欲的な働きには目を見張るものがあった。
攻撃時には、ボールを持つ度に積極的にドリブルで切り込み、エスパニョールの左サイドバック、ペドロサと激しく戦っていた。キープ力がある上に、推進力があるため、後半に押し込まれる時間が多くなってからも彼がボールを前進させてゴールを脅かしたり、ファールをもらって時間を稼ぐことができていた。
また、守備においてもペドロサと激しくぶつかり合い、乱闘直前になりそうなほどの言い合いで両者にイエローカードが出る場面もあったほどだ。まさにダービーマッチといった雰囲気であり、非常に面白い局面での対決だった。
低評価の選手
ミンゲサ
右ラテラルで出場したミンゲサは、左のアルバとは対照的に、3バックの右の一枚に近いような役割を担っていた。
押し込んでいる時にはこぼれ球をうまく回収していたが、イリアス・アコマックがボールを持った時にサイドを駆け上がったりすることは後半に1、2回ほどしかなかった。また、ピケがボールを持った時もアコマックと被ったポジションにいるため、彼を経由することはなく、むしろ邪魔なポジショニングとなっていたように感じる。
特に悪い印象を受けたのが、ロングボールに対する対処の仕方だった。これまでの試合でも見られたミスだったが、ロングボールの対応を誤り、R.D.T.にいい形でボールを譲り何度もピンチを生み出してしまっていた。
イリアス・アコマック
アコマックはつい最近までフベニールでプレーをしていたバルサBの選手だ。
17歳の若手選手は、今回のダービマッチがトップチームのデビュー戦となり、シャビが初戦の先発に起用したということで非常に注目を集めた。
ボールを持つ度、何度も仕掛ける動きを見せ、2回ほどニコとの連携からシュートまで持っていくことができていた。その動きはまるでメッシのようだったが、シュートには威力がなく簡単に処理されてしまっていた。
その2回以外は仕掛ける動きを見せるも、結局後ろにボールを下げてしまっており、積極性に欠ける様子が見られた。
前半に効果的な働きをできなかったことから前半だけの出場となってしまい、また、交代で入ったアブデがいい働きを見せていたことから非常に残念な形となってしまった。ただ、彼にとってこれはまだ最初の試合であり、素晴らしい若手が続々と出てきている中、今後の成長が非常に楽しみだ。
コウチーニョ
コウチーニョはバルセロナに移籍して以降、十分な活躍を見せられているとは言えず、年々調子を落としていってしまっている。
練習中も態度が悪く、他のチームメイトから嫌煙されているという報道のほか、先日の試合でバルフアン監督の命令を拒否し、プレーをしなかったとも言われている。
一方で、試合前のウォーミングアップではチームメイトと非常に楽しそうにプレーしており、シャビ監督になって彼もかつてのプレーを取り戻すのではないかと期待していた。
後半25分、シャビ監督に指示を受け、ガビと交代した。ガビは非常にいいプレーを見せていたため、期待値は高いものだった。
交代してから最初の方は、ボールを受けようと献身的にポジション調整や縦へ抜ける動きを見せていた。
しかし、デパイとのコンビネーションが3回ほどうまくいかず、チャンスのシーンで余計なオフサイドをもらってしまったことでシャビが呆れたような表情で怒るシーンがあった。
それ以降、モチベーションが潰れてしまったのか攻守ともに歩いて下を向いているシーンが多くなってしまった。試合終了直前のコーナーキックでもゴール側にトラップをしてしまい、あわやというシーンもあった。
リヴァプール時代の栄光を知っているからこそ、今のコウチーニョはとても見てられないといった感じがして、かわいそうに思える。しかし、監督が代わったことをいい機会として、再び輝きを取り戻すために諦めずに頑張ってほしいと思う。
続出する怪我人
今シーズンこれまでにも多くの負傷者が出ており、今試合でもファティやぺドリ、デンベレ、ブライスバイトらが怪我で欠場している。
エスパニョール戦でもブスケツが後半33分、ニコとミンゲサが43分に怪我で交代を余儀なくされている。
3日後にはチャンピオンズリーグでの大事な一線であるベンフィカ戦が控えている。
主力選手をさらに欠いて重要な一戦を迎えるのは心許ない。
今後の改善点
今後の改善点の一つとして、クロス対応が挙げられる。クーマン監督の頃からクロス対応でズレが生じ、相手選手にフリーでヘディングをさせてしまうシーンが多い。今試合でもフリーでヘディングさせてしまい、運とゴールポストに救われていた。
シーズンの途中に監督が代わってから、まだ日が浅いことからクロスなどの状況におけるルールを浸透させるのはシャビとしても難しかっただろう。
従って、クロス対応に関しては今後、改善していくものと期待できるが、ベンフィカ戦に間に合わせることができるに越したことはない。
次に、怪我などの問題で十分なパフォーマンスを見せてくれる選手がいないポジションがいくつかある。
右ラテラルとして今試合ではミンゲサが出場したが、試合を失ってしまいそうなミスを連発していたほか、怪我を負ってしまった。ダニ・アウヴェスは登録の関係上、1月のデビューとなってしまうため、しばらく出場はできない。デストもエスパニョール戦後、練習に合流して通常のメニューをこなしていると言うが、ベンフィカ戦への出場は微妙なところと言えるだろう。
なので、ここしばらくはアラウホがファーストチョイスとなるのではないだろうか。セルジ・ロベルトは攻守に渡って献身的に動いてくれるほか、これまでの功績もあるため、個人的には彼をファーストチョイスとしたいところだ。しかし、シャビとしては左のアルバが高い位置を取ることから、守備におけるバランスを取るためと背の高い選手を揃えたいと言う気持ちから、この試合でもミンゲサの交代としてアラウホを投入したのだろう。
従って、ベンフィカ戦でもアラウホが先発となる可能性が高いと見られる。
両エストレーモも人材が足りていない。本来のファーストチョイスはファティとデンベレだが、2人とも怪我で欠場している。
今回はガビとアコマックが先発したが、試合が終わったいま選ぶならガビとアブデだろう。
アコマックは積極性と突破力に欠けるほか、コウチーニョもモチベーションが足りていないので、プレー以前の問題だ。
それに対して、ガビは適切なポジション取りができて、アブデは積極性と突破力があることがわかった。
最後に、本来の両エストレーモがいないことが原因の一つになるが、圧倒的に決定力に欠けている。
前半は常に押し込んでいて、いい形で崩すことができていたが、いくつも決定機を外してしまっていた。メッシがいれば…と思うことが一度や二度ではなく、やはりストライカーがいるいないによって試合結果は大きく変わるものなのだなと感じた。
脅威的なR.D.T. (エスパニョール)
この試合で特に目立つ働きをしていたエスパニョールの選手といえばラウール・デ・トマス(R.D.T.)だ。
今季7ゴール2アシストの27歳FWは、代表ウィークで負傷のファティに代わってスペイン代表に招集され2点を決める活躍をしていた。
バルセロナ戦でも前線に選手が足りていない中、個人の能力でボールを収めて運び、前半から幾たびもバルセロナゴールを脅かしていた。
ラリーガにあまり詳しくないという方にとっては初めて聞く名前かもしれないが、今後マドリーに復帰する可能性もあると囁かれており、今後の去就も含めて楽しみな選手だ。
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